ある洞窟のLED化に伴うCO2と電力削減の費用対効果・・・、検証。
秋芳洞、照明も節電で…LEDに切り替え
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110414-OYT1T00827.htm?from=navlp
(中略)
蛍光灯が138本、「百枚皿」「黄金柱」などをライトアップするためのハロゲン灯や水銀灯などが79本設置されていた。
(中略)
昨年12月から進めてきた白色LEDへの切り替えは3月末に終え、ライトアップ用の照明は約2倍の151本に増設。総事業費は約2億円で、全額国の交付金を充てた。使用電力量と二酸化炭素の排出量は各70%の削減が期待でき、年間約250万円かかっていた電気代は、半額以下に抑えられるという。
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・・・・ということなんですが。
いろいろ間違ってるな、と思うわけです。
まずLED化に伴う利点としてこの記事では、『消費電力』『CO2削減』『藻の生育抑制』をあげています。
・消費電力について
250万の半額ですから、年間125万円の効果があったと。まあいいでしょう。
営業時間が9:00~16:00までだそうなので、前後1時間を足したとしても点灯時間は9時間。年中無休らしいので、365日だとすると3285時間点灯している計算になります。
250万円÷3285=761円となり、1時間に761円使っていることになります。
これは中国電力で多く見積もっても1kwhあたり20円程度ですから約38kwhの電力を使っていたことになります。(基本料金がありますから、実際はもう少し少ないと思います。)
・CO2削減について
ざっと計算して(CO2係数を0.45と設定します)上記の38kwのCO2を計算すると、年間で153900kgの排出量です。
参考:http://www.elel.co.jp/co2.html
その70%ということですから、107730kgと。これは約107.7トンということです。
これを今のCO2の価格に反映すると(ここでは1トンあたり2000円とします。震災以後あがっているかもしれませんが。)年間で215400円。。。。。
約21万5千円ですね。
上記合計で125万円+21万5千円=約150万の年間で削減になると。
・・・・・・・2億円使って年間150万の削減ということなんです。しかも国庫負担で。まあ交付金が使いやすかったんでしょうが。
でもあまりにもアンバランスな数字です。
もっと他の事に役立てた方がよかったのではないかと、思います。一部だけLEDにして、あとは耐震や藻やこけの対策とか、掃除とか、観光開発とか、そういうことに使った方が良かったのでは?『藻の生育抑制』にしても15%ですから、総工費2億円の前ではかすんでしまいますよ。このバランスから言えば藻の生育に1億くらい使っても文句は言われないはず(笑)
LEDに変えた→話題・集客になる そんな時期は徐々ゆっくりとではあるかと思いますが終息していくでしょう。
そして残るのは『何をどのようにやったか』ということです。検証されるタイミングがこの先きっとくるでしょう。
電力削減・CO2削減もいいですが、そこに焦点を絞るならもっと考えて実施した方がいいと思います。
せっかくライティングデザイナーを起用しているのだから、そういうデザイン性をもっとフューチャーしていけば良いのではないかと思います。
秋芳洞
最後に、
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(中略)
○○課長は「LEDで鍾乳洞の自然な色を楽しんでいただけるようになった。省エネやエコなどの環境意識を高めてもらえる観光洞を目指したい」とPRする。
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ということですが、水銀灯よりはましだと思いますが、以前設置していたハロゲンの方が演色性が高いのでLEDよりもずっと自然な色が出ていたはずですよ、担当課長さん。
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ここから後日の記事なんですが、こういう記事がいいですね。タイムトンネルは効果的かどうかわかりませんが。(2011年5月7日追記)
『陰影をつける』のは壁がデコボコしている洞窟ではとても効果的でしょう。陰影がつきやすく、雰囲気が出しやすいのです。
秋芳洞に「タイムトンネル」登場 地球の歴史体感
http://mytown.asahi.com/areanews/yamaguchi/SEB201105060039.html