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【書籍】ジャンジャン狂宴(左右社)

1969~2000年まで30年間、渋谷公園通りにあった伝説の小劇場についての書籍。

オーナーの自叙伝的側面もあり、その時代時代の事件や出来事を背景にしながらジャンジャンがどのような道を歩んできたか、またその中で多くの著名人がどのように関わっていたかを仔細にまとめられています。

その資金繰りの様子や著者の「場」にかける思いや熱、それは焦燥、達成感、憂鬱、希望、等ありとあらゆる感情が織り込まれています。また感情の吉備や動きの表現の面白さに加え、
制作面での色々な企画の話、(プロデューサーという職業の基本を感じます。)
劇場許可申請のくだりや音楽著作権団体とのやり取り、実際の劇場運営での苦労話もあり、小劇場運営に携わるものにも貴重な資料となりえる良書です。


私がジャンジャンに関わったことがあるのはとある劇団で2、3回照明の増員としだけなのですが、それでも内部の様子はとてもよく憶えています。まだ学生の時分でしたが夜通し仕込んだのは良い思い出です。

そんな劇場に魅せられて、こんな記事も最近ありました。
渋谷の伝説的小劇場「ジャンジャン」、秋田で「プチ」開店

その姿がなくなって10年以上、これからもジャンジャンはその場の魅力から影響を持ち続けるのでしょう。
 
最後に、よく実験的劇場とか実験が出来る劇場といった言い方をしますが、それは何でもやらせてくれる、例えば砂や水を使わせてくれるとか、あるいは劇場側が何も言わず無茶なことを許可してくれる、という事を指しているのではないことに気が付きました。これは今の小劇場界においても誤解があると思います。
当時の温度というか、その当時の演劇界やTV界の状況・その時代時代の雰囲気の中で存在したじ「ジャンジャン」という小劇場の『場』そのものが実験的だったことが本書で良くわかりました。



ジァンジァン狂宴
 



 左右社



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参考文献
wikipedia 渋谷ジァン・ジァン

(松任谷由実)マンスリーコンサート/Jean Jean