劇場さんインタビュー

しもきた空間リバティさん

時:2002年7月29日
場所:しもきた空間リバティ・5F事務所
語り手:劇場主 斎藤さん


~下北沢の老舗から、劇場が誕生。~

 

聞き手:
快くインタビューに応じてくださってありがとうございます!今日はよろしくお願いします。
早速ですが、どういう経緯で新しく劇場をお作りになったんですか?

 

斎藤さん:
40年前から商売をしてまして、元は電化製品を安く売るいわばディスカウントの走りとも言える事を、先代が個人でやっていました。ヨドバシさんもお仲間です。

ですが、「コジマ電気」さんや「ヤマダ電気」さんなど、他の電化ディスカウントストアが台頭するにあたって、「電化製品を売っている場合じゃない」という話が、結構前からありました。
そこで「カーニバル」という、デリカデッセンと食品と雑貨を合わせた店舗をやり始めました。息子の代になってレストランを経営していたので(現在下北沢に3店舗・吉祥寺に4店舗ある)、食材関係は手に入る状況だったのです。
もともと「カーニバル」は多摩などでもやっていたのですが、それを今回ここにも、持ってきました。

すると今までビル全体を使って家電を扱っていたのが、「カーニバル」を店舗として入れると、占有スペースは2F分だけで済んでしまう。それでどうしようかと考えたんです。

最初はインターネットカフェとかも考えていたんですが、私がもともと、「なかの芸能小劇場」や「内幸町ホール」などの他、たくさんのところで朗読をやっていたんです。
朗読の先生として教えていたりして、テレビ関係にも知り合いが居たりしましたし、(近藤サトさんは斎藤さんの後輩!あの「ラブシーン」も監修で教えられていたとか)それに私は放送学科卒なんですよ。そのせいもあって、演芸に近いところで劇場をやろうと。お笑いライブなどもできる公開スタジオを開こうとも考えていたんですが。

それで、今現在の社長が従兄弟にあたるんですが、「やりたいんなら、やってみる?」という話で。



客席から舞台を撮った写真。
間口5.4m強・奥行3.8m。舞台の奥に横6.9m幅90cmの楽屋スペースがある。

 

聞き手:
斉藤さんのそれまでの活動や人脈が大変影響していらっしゃたんですね。

 

斉藤さん:
いろんな人に手伝って頂いてね。設備や外回りの部分は、やはり業者(松下)にやってもらったけれど、客席椅子など劇場内のことは全部、FOSSE(ブロードウェイのミュージカル)の技術監督さんをやってらっしゃる方とか、周りの友人のスタッフさんがたが、ほんとうに手弁当でやってくれて。

後アートスペースプロットのFさん。朗読関係の知り合いがFさんを連れてきてくださったんですよ。それでFさんに相談したの。そしたら「お金かけちゃダメ!」って・・・(笑)Fさんの言うとおりに作りましょうっていうか、Fさんが予算立て。(笑)
でもお考えはシビアでしたよ。やはりご自分で経営してらっしゃるから・・・。「いくらまではかけるって予算をきめないと出来ないよ」っておっしゃってた。やっぱり、予算はかけようとおもえば際限がないし。全部やっていたとしたら膨大な金額になってしまい、逆に利用する側に負担になってしまうしね。

それにFさんが「大丈夫ですよ」って言ってくれたからやることにしたの。それこそFさんに押してもらったようなもの。もし「いや、辞めた方がいい。」っておっしゃったら、辞めたと思う。そのくらい、影響力大なんだから。(笑)

 

聞き手:
(笑)周囲のいろんな方のご協力があって実行する事が出来たというわけですね。
下北沢という場所には何かこだわって?

 

斉藤さん:
これだけちいさいところだと、新宿などの繁華街でやっても埋もれてしまうでしょ。演劇が・人が集まるところだから、やってみても良いかなと思ったの。

 

 →
舞台から客席を撮った写真。
キャパシティは100~120人。
広さは、同じ下北沢にある「OFFOFF劇場」以上「駅前劇場」未満といったところ。

 

聞き手:
それで、開館はいつされたんですか?

 

斉藤さん:
先月(6月)14・15・16日に柿(こけら)落としはしたのね。ぎりぎりまで3・4Fの使い道を迷っていたから、劇場をやると決まったのが今年の3月。それから突貫でやったの。

 

聞き手:
たった3ヶ月ですか!すごい!

 

斉藤さん:
ですから、告知もしてないので、7月はどなたも来ません。今はお知り合いなど口コミのところでやって頂いてます。毎日新聞のコラムをやってらっしゃるKさんが、近所でもともとのお客さんなのでそのコラムで紹介して頂いたり、テレビ関係の人にも紹介してもらって。つい先日は山田雅人さんとかがお使いになって。他にも演芸関係などね。電気代だけ頂いてという感じで。
それと、計画しているときにENBUゼミナール関係の方や、「HIGHLEG JESUS」のTさんやHさん、Nさんなんかとお話をして状況などをお聞きしました。その関係で、Tさんに頼まれて、8月はハイレグさんにお預けしたの。それも、電気代のみでね。

告知も特にしていなかったので、7~9月にやろうとしていらっしゃるところは、もう劇場は決まっているでしょ?9月まではあまり入ってないですね。10月や12月とかは入ってるけれど。

 

聞き手:
電気代だけとは、太っ腹ですねぇ。(笑)
これからイベントやフェスティバル等を主催するご予定はおありですか?

 

斉藤さん:
もちろん、そういうことを出来るようになるかも分からないけれど、まだ知られてないものですから(笑)それにお芝居としてやるのはハイレグさんが始めてなの。そこでやってみてもらって、不都合な点などが出てくると思いますし。だから電気代だけでやってもらう事になっているわけだから、ハイレグさんには。

 

聞き手:
でも最近周りでよくリバティさんのお噂をお聞きしますが・・・。

 

斉藤さん:
それが下北沢の利点なんですよ。Fさんが仰っていたけれどねぇ、「下北沢だったら何しなくたって大丈夫だよ。告知にお金かけることはないよ」って。
最初は各劇団さんにDMを送ろうとおもっていたんですよ。でも郵便代も馬鹿にならないでしょー。
Fさんも「最初は口コミで様子見たらどうだい。」っておっしゃっていて。
「そうですかねー。」って(笑)

 

聞き手:
(笑)

 

最初は結構緊張して伺った私ですが、斉藤さんは本当に気さくな方でお話ししてるのが楽しくなってきてしまいました。

 

インタビューはまだまだ続きます。(^^)