演出家の意図(他のスタッフ含む)と、自分の明かり、そしてお客さん。
その@下見
下見は重要です。なぜかと言えばやはり図面だけで見るだけでは実際の感覚がうまくつかめないからです。さらに劇場の機構などきづく点も多いです。できれば写真なんかも取ったりすると良いかも。忘れた頃に写真を見ることもできますし。下見の際には機材等をチェックしておきましょう。数や種類に変更はないか、どのくらい機材がちゃんとしているかなど。もちろんコードなどのチェックも。
劇場の機構にかんして言えば、パイプが通ってないところも、もしかしたら吊れる所が有るかもしれない。幕を張る予定ならば、幕が吊られた時に充分なパイプが有るかどうかなど。卓もチェックし、死んでいる回路が有るかどうかも劇場の人に確認すると良いでしょう。
そのA稽古等見学
稽古や練習を見学に行く機会はそれほど多くなくていいと思います。やはりある程度稽古の方で役者の方でシーンが煮詰まっていかないと、照明イメージもできにくいからです。ただ、演出家さんとは、事前にお話しておいてもいいかも知れません。演出家のイメージを理解することは大切なことですから。いくら照明的にしっかりしていても演出家が駄目と言えば、それは駄目になってしまいます。(まあ、そのときの力関係はあったとしても。)
通しは見ておきましょう。(当然か)
そのB打ち合わせ
演出家さんだけでなく、できれば他のスタッフさんとも話し合いの場を持った方が賢明です。例えば衣装。衣装の色でかなり明かりのみえ方が違ってきます。例えば音響。音に似合う明かりでないと場が変になってしまうでしょう。そして演出。これは大切。しっかりと演出が持つイメージを理解し、それを踏まえた上で明かりプランを作りましょう。
そのCイメージ
イメージは大事です。そこが昼なのか夜なのか。外なのか家の中なのか。砂漠なのか海岸なのか。日の照り具合はどうなのか。眩しいほどなのかくもりなのか。はたまた雨なのか。夕暮れなのか。演出から頂いたイメージを重ねあわせてそのシーンを頭を使って練りましょう。イメージが不安定だと、実際に劇場に入ってから困ります。ああでもないこうでもないと時間ばかりが過ぎてしまうことにもなり兼ねません。しっかりとしたイメージを持って、実際の図面に書き込んでいきましょう。
イメージ作りで実際に手がかりとなるのは、場所と時間。状況。そしてそれに即した光の入り具合。加えて演出の言葉などです。
例
場所:部屋の中 時間:夕方 登場人物:二人
光:蛍光燈。窓から入る夕日の明かり。空きっぱなしのドアから入る外の光。
演出の言葉:かなしげで濃厚。
・・・・・とか。
わたしは光に関しては、あらゆる光源を気にして、最後に削れるものと削れないものを判断していきます。
一つの例です。
そのDプランニング
そしてイメージが整った所でプランニングです。一言で言ってしまうと、「演出の意図を生かし実際に照明をお客さんにどう見せたいか。」を考えていくものです。
ですから、ある程度「その6図面化」とかぶってしまう所が有るかもしれません。
主に考えなければならないであろう例を挙げていきます。
1、基本場面と台本の構成
2、色合い、印象度、明暗
3、光のあたり具合
4、趣味とプライオリティ
1では、台本の構成を考えてみて、「演出家がどこに重きをおいているか」を考えてみます。言い換えれば「各場面は脚本上でどのような役割を負っているか」と言うことでしょうか。演出家の意見とも照らし合わせて見ましょう。不明な点が有れば改めて聞いてみるのも良いかもしれません。(あいての都合を考えて)
2は、実際にお客さんに見せたい色合い、明暗、等を考えます。赤と言っても朱色のような赤なのかそれとも赤紫のような赤なのか。そしてどの程度暗ければいいのか、または明るければいいのか。「人がいる」ことがわかればいい暗さなのか、顔がうっすらと見える程度か、それとも役者の毛穴の奥までお客さんに見てもらいたいような明るさか。
色合い、明暗ともに細かく考えていきます。ただ、この項(2)は、現場でもある程度融通が利くので、(色を変えればいい、ゲージの調節等)人によっては、大まかなことだけイメージできていればいいと言うこともあります。
ただ超初心者の場合には、それをやっておかない人は、現場で困ってしまうことが良くありますので書いてみました。
つまりプランニングで重要なことは、「自分のプランに自信を持てるか=イメージがちゃんと固まっているか」と言うことです。
初心者の方には1〜4をやっておいた方がイメージが固まりやすいと言うことで。
3は、光のあたり具合は、光源を考えると同時にどこにどのような明暗で当てたいかと言うことを考えます。「下側(客席から見て左側)の窓から入ってくる夕日」と言うことであれば、上側(客席から見て右)から当てては意味が有りません。
役者の顔に当てたいのに、関係ない大道具類やパネルなどに当てたらこれまた意味が有りません。
と、いうことです。
4は、自分の趣味です。自然ににじみ出てくることかもしれませんがここであえて書いたのは、自分の趣味を演出の意向や脚本の趣旨に逆らうようなことが合ってはならないと言うことで書きました。つまり、プライオリティ。自分がどうしてもやりたいことでも芝居を壊していくような明かりは作っては行けません。(まあ、そうそうする人はいないでしょうが、自分できづかないこともたまに有るかもしれないので。)
最後に、常にお客さんからどう見えているかと言う視点を持ってプランニングしてください。自分がこうと信じた明かりでも、思わぬ印象をお客さんに与えてしまう時が有るからです。一般大衆の視点をもつこと。エンターテイナーには無くてはならない条件です。
そのE図面化
その5と組み合わせて一番大変な作業かもしれません。頭の中で考えていたことを現実化するのですから。
図面化とは「仕込み図を書く」と言うことですが、この作業も他の例に漏れずひとりひとりやり方が違います。仕込み図にも一枚として同じ物はなく、説明するのが非常にむずかしいのですが、ここでは方法の一例をあげてみたいと思います。超初心者の人はこのとおりにしていけば最初はある程度形ができるのではないでしょうか。
注:舞台図は美術さんからもらいましょう。舞台の広さと寸法。平台や幕やパネル、道具はどこに何が置かれるのか。これが無ければ仕込み図書けません。
舞台図、劇場図、回路図、機材表が揃った所で書き始めましょう。別に揃ってなくても書くだけなら書けますが。(舞台図は必須だけど。)
そして、色などを決める際には、舞台の色、衣装の色なども考慮に入れましょうね。
もちろん場面ごとに独立した明かりをそれぞれ作る(吊る)のが理想ですが、そんなことをしたら灯体も(仕込む)時間も圧倒的に足りません。ある程度兼用させるのが小劇場では一般的です。
一例:
基本明かりとそれ以外と言うやり方。
まず最初にその芝居の中で最も多く使うであろう場面の明かり&舞台全体を均等に照らせる明かりの灯体たちを書き込んで行きます。CL(シーリング)、ブッチ、バック、フロント、地明かり。これらを舞台の大きさにあわせて(2発ずつとか、3発とか)配置します。
そしてもう一系統、別な色を入れる明かりを同じように書き込みます。これもCL〜地明かりまで。灯体の数によってCL以外は省ける所が有るでしょう。
これで、2セット(2系統)の基本明かりができました。大体灯体はフレネルレンズを使います。(かといって凸を使っては行けないと言う意味ではなく、あくまでフレネルが多いであろうと言うことです。)
2セットあると、個々の色のほかに、ゲージを調節して色を混ぜ合わせて色を作ったりできますので重宝できます。
光のあたり(照らす向き、照らし方)も考えて、(ストレート、クロスなどを)配置してみてください。
それから、それ以外の事を考えます。
サス、印象明かり、美術当て、等が考えられます。
サスには、対象の人数によっては複数書かなければいけないかもしれません。加えて、一方向ではなく二方向から同時に取りたい時もあるでしょうから(正面と後ろから、など)そういうことも考えて。
印象明かりは、当てたい所や色は場合によって違いますから一概には言えませんが、舞台全体を印象づけたい場合は、上または下の奥から照らしてやると、お客さんが印象を受けやすいように思います。また正面の奥もいいようです。使う灯体は主に凸やパーライトを使います。光量が強く、平坦な明かりにはならないからです。
美術当てはその美術の大きさなどを考えて配置します。
パーライト→凸レンズ→フレネルレンズの順に、狭い範囲→広い範囲&特定→平坦な場合に使うようです。
そしてミニブルやエフェクトマシーンやエリスポやストロボは必要に合わせて考えて使います。ただエリスポは、舞台上に模様を出したい時などにも使われるので、基本明かりの一部にも加えられることも有るでしょう。
図面化のためにも灯体の特性を知ることは重要です。自分のイメージに合った灯体を使えるからです。
以上の説明では分かりにくいと思いますので、ここに私のプランニングとその仕込み図を例に即したかたちとしてあげておきます。
ご参照ください。→(ここをクリック)
そして、キューシート、切り替え表ももちろん作りましょうね。
切り替え表についてはこちら→(ここをクリック)
そのF人員
仕込みの時には、仕込みの規模(日数も)に合わせそれ相応の人手が必要になってきます。自分で必要な人数を確保しましょう。呼ぶ人のスキルも考えて下さい。
大体キャパが100人以下の劇場なら3〜4人まともな人がいればいいでしょう。
そのG仕込み
仕込みではプランナーがすべて照明のことに関しては仕切ります。自信を持って指示をしましょう。
あと、みんなが疲れてくると効率も悪くなります。適当な所で休憩を入れさせてあげましょう。
搬入の時
劇場主に挨拶。
先に使うものと後に使うものを分けて、先に使うものを取り易い位置に置いておくように指示します。前もって舞台監督さんに、照明用の使えるスペースを聞いておきましょう。劇場の機材も、使うやつは出しておいたり、ハンガーをつけておいたりするようにします。
吊込みの時
仕込み図をめいめいに渡し、だれがどこから吊り込むか指示します。どこから吊り込むかは、事前に舞台美術と舞台監督さんとの話し合いによって決めておきます。
吊り込み時にはプランナーは普通、吊込みはせず指示のみに徹します。人数次第ですが。足りない場合は自分も吊込みに参加しながら指示します。
パッチの時
吊込みがあらかためどが付いてきたら、パッチをするように指示出します。(パッチ表を渡して。)
必要な場合はチェックしていきます。
シュートの時
これも、明確に自分の意図を伝えてシュートをしてもらいます。
明かり作りの時
オペもプランナーがやる場合は、ひたすら卓と格闘して、明かりを作っていきます。ゲージを書いていくのを忘れずに。
別々な場合は分業でやることもできます。指示を出すプランナー、ゲージを操る&ゲージのデータを取るオペと言った具合に。
場当たりの時
場当たりをこなしていき、演出からクレームが合った場合には対処する。
空いている時間の時
直しができるようであればする。それ以外は休む。
ゲネプロと本番の時
オペである場合にはオペレーションを、オペが別な人の場合は明かりをチェック。思う所が有ればそれをオペに伝えたり、明かりを直したりする。
ばらし、搬出の時
基本的に搬入の時と一緒だが、自分も加わってひたすらばらす。
最後にコード等チェックするのはプランナーの役目。
劇場主に挨拶に行って、終了。
そのG‐2
初心者がプランナーをした場合の、仕込での注意点とまとめ
まず、劇場入りの前に持って行くもの。確認するもの。
1.道具類
ペンチ・プライヤー類・懐中電灯類・ビニールテープ・黒ガムテープ・テープ類・アルミホイル・アルミ板・軍手・ドライバー・ペンなどなど
2.いろ(ゼラチン・ゼラ)
3.仕込み図とそのコピー
4.チャンネル表(フェーダー表)・切り替え表
5.持込があればその機材
6.必要であれば手元明かり
などなど。
そして、場当たり中などに初心者が陥りやすいことについて一つ。
場当たり中に、よく演出家等からいろいろ言われたりすることの一つに「ちょっとそこのサスつけて」とか、「地明かりもっと明るく」とかいわれます。
が、それに素直に従ってはいけません。
なぜか。演出家は演出家であって、照明家ではありません。演出家にもよりますが、大抵はそこの要望が出た時点の一場面の明かりしか見ていません。ということは、それまで貴方がせっかく芝居の全体を考えて作ってきたプランが瞬時にして壊されてしまう危険があるからです。
その演出家の言葉がイメージ的なモノなら良いのです。そうすれば貴方の作ったプランの範囲内で一番良い明かりをそのイメージに沿って文字通り場当たり的にですが作ることができます。
しかし上記のように、ピンポイントに特定のつってある灯体に対して注文をつけてきたときには気をつけてください。
ほとんどの演出家は照明のことについてまったくといっていいほど知りません。そう言う人にピンポイントで注文をつけられるのがどんな結果になるか。もしそれに全部したがってしまったとしたら大抵失敗です。
よくよく気をつけてください。
2ヶ月前〜
照明についてのオファーが有る。
そして顔合わせ。
1ヶ月前
演出上の話をする。他スタッフの意向も。
劇場情報等も手に入れる。
初めて稽古を見に行きがてら。
2週間前
稽古見学。通しがある場合には出席。演出家と詳しい打ち合わせ。
プランに取り掛かる。人員、機材手配。
1週間前
通し稽古を見に行く。変更等の情報からプランを詳しく練っていく。
できれば仕込み図を書く。
3日前
変更を考慮し、仕込み図ほぼ完成。劇場に仕込み図を送る。
前日
仕込み図完成。人数分コピー。人員機材確認。